日本人の知らないユダヤ人

日本人でもユダヤ人になることができて、ユダヤ人になればイスラエル国籍を取得することができる。
欧米ではいろいろな階層にユダヤ人がいて、なんとなく雰囲気でわかる物らしいが、多くの日本人にとってユダヤ人とはどのような人々なのかと言うことはよくわからないと思う。
そのユダヤ人について、日本人からユダヤ教徒に改宗してユダヤ人になった著者が、その切っ掛けから改宗してユダヤ人になるまで、そしてユダヤ人はどのような人々なのかを、日本人という背景をもちながら、国際的な視点から語っているのでとてもわかりやすい。


ユダヤ人は2000年以上前から続くユダヤ教という物を紐帯として連携し、コミュニティを作り、そしてそれを規律として自らに課し続けてきた。 ひるがえって今の日本を見るとそのような社会的規律というような物はほぼ無くなってしまっていると思う。それは宗教などに縛られない分、とても自由な社会だと思うがその反面、精神的に頼るべき物、自分の背景、土台とするべき物がとてもあやふやな状態になっているのではないかと感じる。 これがニーチェの言った「神は死んだ」という社会なのだろう。


おそらく戦前戦後のしばらくまでは日本の精神的柱として、天皇を頂点とした「家」というシステムがあったのだろうと思うが、これはもうすでに機能しなくなっている。そういう現状に対して、何とかしようという動きが安倍首相の道徳教育や、森本学園の教育勅語なのだろうと思うが、こういった物に対する反応を見ていると一度失われた民族の神話や伝統を復活させることの難しさを感じる。